PowerShot G11 試し撮り。その4

少し前に PowerShot G11 のレビューもどきを数回行った。しかし所詮、家の近くで適当に撮った程度であった。最近、二泊三日で国内旅行をする機会があり、初めてこのデジカメと長い時間を共に過した。すると、上記のレビューではわからない発見が色々とあった。

ファインダーについて

コンデジは普通、液晶ディスプレイを見て撮影する。この機種には珍しく光学ファインダーが付いている。視度調節も付いた本格的なものである。そこで今回の旅行では主にこれを使い、バッテリーの減りを抑えようと考えていた。

しかし、この考えは早々に放棄せざるを得なくなった。ファインダーの見え方は悪くないのだが、実際の画像と懸け離れており、フラストレーションが溜ってしまうのである。仕様によると視野率は77%とあるが、66%くらいしか合っていない感覚だ。それにファインダーでは、どこにピントが合っているかもわからないし、露出など現在の設定も確認できず、とにかく不安になってしまう。

要するに光学ファインダーはあまり実用的とはいえない。はっきり言ってしまえば「とりあえず被写体が映っていればいい」というシチュエーション以外には使い道がない。まがいなりにもカメラ、写真を趣味とする人には耐えがたいものといえる。

ところで、前に使っていたニコンの COOLPIX E5000 では、光学ファインダーを使って撮影してもこのような違和感は感じなかった。液晶ディスプレイとは別に白黒のディスプレイがあり、そこで設定を確認できるのも良かった。「ああ、なかなかいい機種だったんだなぁ」と感慨にふけってしまった。

ニコン vs. キヤノンの話は不毛なので、これくらいにして次に映ろう。

バッテリーの持ちについて

上記の理由から、ほとんど液晶ディスプレイをつけた使い方だったが、三日目の午前中にバッテリーが切れた。枚数では400枚くらいだったと思う。仕様によると、画面表示時で390枚、非使用だと1000枚とあるので、まあこんなものか。

よって予備のバッテリーを一つ持てば、三、四泊の旅行や出張も大丈夫であろう。それ以上だと充電器が必要となる。

アナログダイヤルについて

この機種の特徴として、露出補正と ISO 感度設定用のアナログダイヤルが付いている。やはりこれは便利だ。ちょっと暗いがフラッシュはたけない場所では、ISOダイヤルをコロコロ回せばいい。私は観光地で室内の文化財を撮る時にフラッシュを使わないと決めているので、高感度が強いのはたいへん助かる。


画像をクリックすると原寸大になります(サイズ注意)

ISO Value - 1600
ApertureValue - F 2.80
ExposureTime - 1/160 seconds

上記の画像は、ISO 1600 で撮ったもの。原寸大でみると粗さが目立つが、旅行のスナップ写真としてなら何ら問題はない。



さらに良いのが露出補正のダイヤル。デジカメの自動露出は高めに設定されているので、そのままだとのっぺりした画像になりがちである。そこで少しアンダー方向に補正すると、結構しまった絵になったりする。

もちろん、これはケースバイケースで、デジカメならいくらでもテストができるはずだが、私はあまりやってこなかった。これまで使ってきた機種では大抵、露出補正は面倒だったからである。

それがこの機種では直感的に設定できる。露出補正の勉強にはもってこいであろう。



とにかく、この二つのダイヤルのおかげで、PowerShot G11 はマニュアル指向のデジカメとなる。露出やシャッタースピードをいちいち考えて撮るのが、好きな人にはたまらないであろう。

これらとは逆に、カメラ背面のダイヤル(露出やシャッタースピードを変える)は、やはり使い心地がよろしくない。ちょっと手が触れてしまうと動いてしまうからである。

フルオートについて

このカメラはフルオートで撮影することは、あまり想定していないように思える。というより、これを買おうとする人はそういうことは考えていないだろうと言うべきか。

しかし、旅行などでは自分のカメラで他人に撮ってもらう機会がけっこうある。そうした場合は、モード選択ダイヤルをオートにし、フラッシュの有無だけこちらで設定して、カメラを渡せばよい。

以下に、フルオート撮影とマニュアル撮影の比較のための例を挙げる。


画像をクリックすると原寸大で表示します(サイズ注意)


フルオート時 マニュアル(露出優先)時
ISOSpeedRatings - 80 ISOSpeedRatings - 100
ApertureValue - F 4.00 ApertureValue - F 5.60
ExposureTime - 1/320 seconds ExposureTime - 1/500 seconds
ExposureBiasValue - 0.00 ExposureBiasValue - -1.00

オートだとややオーバーぎみなので、露出補正をした。マイナス1では大きすぎたようで、今度はややアンダーぎみになっているが、自分としてはこの方が落ち着いており、好きである。というか、フルオートの方がいいと悲しい(笑)。