ZAURUS から SH-10B への移行5
さて、今回は SH-10B で行った基本的なカスタマイズについて記しておく。他のサイトの記述を参考にしたが、なかでも役に立ったのは以下の二つだった。
やったことを簡単に書くと、まずルート化して、解像度の変更やホームアプリの載せ替えを行い、メモリ・スワップを可能にする、というものであった。簡潔ながら、それぞれについて順番に書いてみよう。
ルート化
まずルート化の準備として、SH-10B の「メニュー」→「設定」→「アプリケーション」を開き、「身元不明のアプリ」にチェックを入れる。
またファイラーや端末エミュレータなどもインストールしておくと良い。端末エミュレータは TAB 補完が使えず、SH-10B のキーボードではちょっと辛い。shutdown -r now「IS01にポータブルえせ開発環境を構築(その2)」を参考に、bash を入れておいた方がいいだろう。
ルート化には、以下のアプリを使う。
au IS01 rooter (IS01root_***.apk)
次に、Superuser というアプリケーションをインストールする。これはルート権限を他のアプリケーションに付与してくれる(らしい)。
ルート化後のカスタマイズ
これで端末エミュレータなどでルートを取り、/sqlite_journals/is01root/sysremount_atmyownrisk.sh を起動すれば、通常は変更できないシステム領域の書き換えが可能になる。
不要アプリの削除
私がまずやったのは、不要な付属アプリの削除である。アプリケーションの実行ファイルは /system/app 以下の *.apk と *. ode ので、いらないものを削除すればよい。ただし、やはり完全に消してしまうのは怖いので、/system/app/escapeapk というディレクトリを作り、それに移動した。こうして無効にしたアプリは、以下のものである。
- mixiAppManager
- NetDictionary
- docomo_market
- Launcher
- Talk
- BookmarkServiceManager
- PVWmdrmService
- Rss
- MajorUpdate
- SoundMemoProvider
- SoundMemo
- Droidget2
- Scheduler
- UkiUkiView
- BlogUp
なおルート化により、カメラのシャッター音を消す(音声ファイルを消去 or リネームする)ことも可能である。
root 対応アプリの導入
次に、ルート化で使用可能となった便利なアプリをインストールした。具体的には、Titanium Backup と Barnacle Wifi Tether である。前者はシステム領域を含めた完全なバックアップができ、後者は SH-10B でのテザリングが可能となる。
画面解像度の変更
あとシステム関係では、解像度の変更をしておくと便利である。SH-10B には 5 インチのスマートフォンとしては大型のディスプレイがあるが、デフォルトでは特に縦の領域がやや狭いからである。
解像度の変更は、端末エミュレータを起動し、まず /system/is01root/sysremount_atmyownrisk.sh を起動させる。その後、vi で /system/build.prop の ro.sf.lcd_density の値を変更すればよい。
$ su
# /system/is01root/sysremount_atmyownrisk.sh
# vi /system/build.prop
[...]
ro.sf.lcd_densisty=162
[...]
:wq
その後、再起動すれば高解像度になっている筈である。詳しい手順については、GHP IS01 解像度の変更を参照されたい。
ホームアプリの入れ替え
SH-10B のデフォルトのホームアプリは、もっさりしているし、色々と使いづらい。これを他のものに入れ替えれば、他のマシンのように見違えるようになる。
私が選んだのは、定評のある ADW Launcher というホームアプリ。姉妹機種の IS01 用にカスタマイズされた ADW for IS01 がおすすめである。
なお、その際に必要なのは、Spare Parts というアプリ。これで Compatibility Mode をオフにしないと、アプリによっては解像度が変わらない。
メモリ・スワップ
SH-10B の搭載メモリは 256MB で、今時のスマートフォンにしては少なく、しかも Android のグラフィック描画のために 128MB 程度を占有してしまうため、複数のアプリを同時起動しているとすぐに動作がもっさりしてしまう。メモリ管理ソフトには Advanced Task Killer というものがあり、これで小まめにアプリを切ってもやはり苦しい。
物理メモリの増強は不可能なので、メモリ・スワップ等で対応しなければならない。ザウルスでは、SDメモリーカードに簡単にスワップ領域を確保できたので、簡単にできるだろうと思ったら結構難しかった。方法としては、以下の二つがある。
- microSD にスワップ領域を作る
- compcache を使う
驚いたことに、いずれの方法もカーネルの入れ替えが必要なのだ! 当然ながら、SH-10B が「文鎮化」するリスクも高い。前者の方が効果は高いのだが、私は楽そうな compcache を選んだ。なお compcache というのは、圧縮したスワップをメモリ上に置く、けっこう古くからある技術である。
SH-10B における compcache の方法は、「is01でcompcacheを有効にしてメモリ不足を解消する方法」に詳しいので、これを参考に行った。概要だけ書くと、
- modules_enable パッケージの導入
- リカバリー領域のバックアップ(カーネルを入れるため)
- カーネルの書き込み
- Ghost Commander で再起動を簡略化
という手順を踏む。compcache の要領は、前述の /system/build.prop で設定できる。効果の程はいまいち実感できないが、複数のアプリを起動しても、40MB くらいはメモリが残っているので、特に動作が遅くなることはない。
以上の工程を経て、SH-10B がようやくザウルス並に使用できるようになった。