tbook で左(奇数ページ)起しの改丁

LaTeX*1で縦書きの本を書きたい時は tbook クラスを使う。

tbook のデフォルトでは、右(偶数ページ)起しになっている。右起し・左起しとは、部や章などが変わり、新しいページから始まる際の規則のこと。例えば右起しの場合、ある章が12ページで終わると、13ページは白紙となり、14ページから次の章が始まる。

さて、少なくとも私がよく読む本では、左(奇数ページ)起しが普通である。そこで LaTeX で左起しをする方法を調べてみたが、思いの他に情報が少なく困ってしまった。

最初に思い付いたのは、ドキュメントクラスのオプションである。右起しを指定する "openright" と指定しない "openany" があるのだから、"openleft" なるオプションがあるはずだと考えた。しかし、そんなものは tbook.cls にはない。海外のクラスファイルにあるようだが、tbook に移植することは私には到底むりそうである。一方で、openany を使っても上手く行かなかった。



LaTeX を縦書きで使う際、藤田眞作氏の著作やマクロがたいへん便利であり、ほとんど必携ともいってよいだろう。改丁なんて基本的な問題だから、絶対に何か書いてあるだろうと思って『続LaTeX2e階梯・縦組編』を開いてみたら、やっぱり書いてあった(pp. 62-63)。

そこでは LaTeX の改丁のこまかい仕組みについて、丁寧な説明がなされている。よってそれらは省略し、奇数ページ起しのやり方だけを示そう。

以下のコードを、ソースファイルのプリアンブルに記すと、縦書きで左起しになるはずである。


\makeatletter
\def\cleardoublepage{       % 命令を定義する
 \clearpage           % 改ページ命令
  \if@twoside          % 両面印刷の時は
   \ifodd\c@page        % 奇数ページの時は[何もしない]
   \else            % 偶数ページの時は
   \hbox{}           % 空箱を出力
   \thispagestyle{empty}    % 柱やノンブル(ページ番号)は出力しない
   \newpage          % 新しいページ
   \if@twocolumn\hbox{}\newpage% 二段組の場合
   \fi
   \fi
  \fi}
\makeatother

前記の藤田氏の著作は絶版で、古本でもまったく手に入らない。LaTeX の縦書き運用に関する貴重な情報が満載されているだけ、非常に残念である。

*1:実際に使っているのは、pLaTeX2e だが煩瑣なので単に LaTeX と書く。