Prosper を使い LaTeX でプレゼンをする1
多くの人と同様に、私もプレゼンの資料(スライド)は MS PowerPoint で作っていた。しかし、画像などを多用するとファイルサイズが大きくなるし、そもそも GUI には不満があった。そこで、LaTeX でスライドを作ってみたくなった。
LaTeX にはスライド作成のためのマクロ(スタイル)がいくつかある(詳しくはTEX の Wiki を参照)。ここではその一つである Prosper をについて紹介しておく。
なお、ここでは OS が Windows XP で、TeX が正常に動いている環境を念頭に置いている。また下記のサイトを参考した。
・Prosper への招待
・Prosperの使い方
・prosperによるスライドの作り方
・Prosper を使おう!
とはいえ、これは LaTeX のマクロ全般にいえることだが、一番の情報源はマクロの作者が記したドキュメントだ。Prosper の doc ディレクトリー以下のファイル(特に prosper-doc.pdf)は、よく見ておいた方がいいだろう。
基本的な流れ
押えておくべき基本的なことは以下。
- 手順:tex → dvi → ps → pdf
- dvi でスライドの内容を確認することはできないので、ps 以降で行う
- スライド内の書式は、通常の TeX のそれと同じ
- pdf への変換は、ps2pdf や Acrobat Distiller を使う。dvipdfm(x) は使用不可
- 図形やその他のグラフィカルな処理には PSTricks を使う
インストール
まず Prosper 本体と追加スタイルのファイルをダウンロードする。SourceForge にあった Prosper のホームページは現在は機能していないようだ。よって、CTAN からアーカイブを取ってくる。CTAN のディレクトリは、macros/latex/contrib/prosper である。"entire subdirectory" をクリックし、zip ファイルをダウンロードする。
ダウンロードした圧縮ファイルを解凍し、フォルダごと TeX のディレクトリにコピーする。例えば C:\usr\local\tex\texmf\tex\latex 以下など。
コピー後は、TeX データベースを更新しておく (mktexlsr)。これでインストールは完了である。
ドキュメントクラスの宣言(オプション)
tex ファイル冒頭のドキュメントクラスの宣言は、例えば以下のようにする。
\documentclass[オプション]{prosper}
オプションには以下のようなものがある。
- スタイル
- スタイル(デザイン)を指定する。スタイルファイルは、Prosper のディレクトリ以下にある PPR*.sty
- draft
- 下書き(ドラフト)モード。図はバウンディング・ボックス(座標情報)に置き換わり、スライド下部(ヘッダー)のキャプションには、ファイル名とコンパイルの日時が追加される
- final
- 清書モード。図はそれぞれ指定された場所に表示される。各スライドのキャプションは、ユーザーが指定した形式でテクストが表示される
- slideColor
- カラー表示のためのオプション。これがないとスライドがモノクロになる
- colorBG
- 背景色は指定したスタイルの指定に基づく
- nocolorBG
- スタイルにかかわらずスライドの背景色が白になる。スライドを印刷する際などに使う
- total
- 各スライド下部のキャプションで、総ページ数と現在ページ番号を表示する
- nototal
- 現在のスライドのページ番号のみを表示する
- noFooter
- キャプションには何も表示しない
- tex ファイルを PDF ファイルとするためにコンパイルする。必須?
- distiller
- PostScript (ps) ファイルを、Adobe Distiller で PDF に変換する場合に必要
- ps2pdf
- ps ファイルを、ps2pdf で PDF に変換する際に付ける。なくても大丈夫か?
上記の他にもオプションはあるが、当面のところ、知る必要はないであろう。詳しくは、prosper のドキュメントを参照していただきたい。
以下に一例を挙げておく。
\documentclass[final,distiller,pdf,colorBG,slideColor,pascal]{prosper}
プリアンブルで記すこと
まず prosper 特有の、というか基本的な事項を挙げる。
- \title
- プレゼンのタイトル
- \subtitle
- 副題
- \author
- 報告者名
- 電子メールアドレス
- \institution
- 所属
- \maketitle
- 上記の情報を含むタイトルページを出力する
- \slideCaption
- 各スライドのヘッダーに表示されるキャプションに任意の文字列を指定できる
- \Logo
- ロゴ(画像)を各スライドに張る。座標指定をしない場合は、各スタイルの指定による
以下に具体的を挙げる。
\title{\LaTeX~でプレゼンをしよう}
\subtitle{Prosperの基本的な使い方}
\author{らてふ太郎}
\email{latex-taro@foo.org}
\institution{カタカタ研究所}
\maketitle
\slideCaption{らてふ太郎}
\slideCaption(5,0){\includegraphics{test.eps}}
プレゼンで便利なパッケージには、以下のものがある。
\usepackage{graphicx}% 画像を貼り付けるため
\usepackage{wrapfig}% 画像を文章内に組込ませるため
\usepackage{pstricks,pst-node,pst-text,pst-3d}% PostScript 命令を使って図を描く
\usepackage[usenames]{color}% 文字列のカラー表示
さらに、プリアンブルで指定しておいた方がいいこと。
%% pspicture 用グリッド (\showgridで表示する)
\def\showgrid{
\psgrid[gridwidth=0.5pt,griddots=5,subgriddiv=0,gridlabels=2,
gridlabels=0pt,xunit=.5,yunit=.5](0,0)(24,0)(0,16)
\psgrid[gridwidth=0.6pt,subgridwidth=0.1pt,griddots=0,subgriddiv=0,
gridlabels=2,gridlabels=10pt,xunit=1,yunit=1](0,0)(12,0)(0,8)
}
%% ハイバーリンクの設定
\hypersetup{colorlinks=true,urlcolor=green}
今回はここまで。次回はスライドの基本的な書式について説明する。