Kensington Expert Mouse 5

その男は毎夜、トラックボール・ファンが解説するレビューサイトや各種のブログを物欲しげにみつめていた。パソコンのディスプレイには、ケンジントンの傑作トラックボール Expert Mouse 5 (EM5) に関する愛情溢れる記事が映っていた。男は溜息をつきつつ、目線を下げる。そこには同じメーカーの EM7 がある。似たような機種だが、構造や操作性はまったく異なるという。ああ、EM5 が欲しくてしかたがない。しかし、この機種は生産が終了しており、家電量販店の在庫も皆無である……。

そんな折、某巨大掲示板のトラックボール関連のスレッドを眺めていると、突然、とある海外の通販サイトのアドレスが現れた。そこにアクセスすると、なんと EM5 が 70 個ばかり在庫があるというのではない。その男――つまり私――が速攻で購入ボタンをクリックしたのはいうまでもない。



こうして今、私の机には EM5 が鎮座している。なんという幸せか!



この機種の詳しいレビューについては、「猫のトラックボールルーム」「魅惑の鍵盤 別館」などを参照されたい。

私の使用感も、上記のレビューサイトやブログで語られているのとほぼ同じであった。ただし、本物のビリヤード玉への交換は実際にやってみたもののあまりしっくりこず、元のボールに戻してしまった。なんとなく、重すぎてベアリングに負担をかけているような気がしたのである。

EM5 のデザインの良さは、すでに色々な所で語られている。EM7 を比べると、その違いは明瞭である。



ただし、ネット上あまり情報がなく困ったのはメンテナンスの仕方。まずこの機種は、構造的に二つのベアリング部分にホコリが蓄積しやすいので、定期的にボディを開けて掃除する必要がある。



また長く使っていると、ベアリング自体も中心部分が剥げて(?)くるようである。ベアリングはステンレスなので、サランラップにクレンザーを付けて磨く必要がある。

しかし、そうした手間を踏まえても、この機種が比類なきデバイスであることは変わりはない。どうか壊れないでいて欲しい。