わがオーディオ事始 4-2(CDプレーヤー編)

念願の初の単品コンポとして、カセットデッキ TEAC V-5000 を手に入れた私が次に狙ったのは、CD プレーヤーであった。プレーヤーと録音デッキが揃えば、とりあえず良い音でソースを確保することができる。アンプとスピーカーは後回しで良い――そう考えたのであった。

メーカーはなんとなく TEAC にしたいと思っていた。その頃、私はすでに「TEAC 党」となりかけていた。高い技術力をもちながらも、客に媚びず、流行に追わないその頑な姿勢が災いして、今一つメジャーになれない――私はそういったメーカーが大好きなのかもしれない(例えばニコンやセガ)。

そんな訳で、購入したのは TEAC CD-Z5000 という機種であった。



詳しいスペックや上記のものより綺麗な画像は、前に紹介したオーディオの足跡に載っているので、興味がある向きは参照されたい。

迷ったのは、DAC(D/A コンバーター)のビット数。当時は 1bit DAC の CD プレーヤーがメジャーになりつつあった。しかし、にわかオーディオ・マニアであった高校生の私は「1bit DAC は音が薄いから駄目だ」などという論拠薄弱な理屈をこね、これを毛嫌いしていたのである。その点も、16bit DAC を搭載する CD-Z5000 は好ましい機種であった。

この CD プレーヤーがどういった音質であったかは、正直なところ、あまり良くは覚えていない。高音部の繊細さは 1bit DAC に適わないものの、中低音は豊かである――そんな評価をしていたような気がする。まあ、プラシーボ効果なんだろうが(笑)。

デザインはなかなか洗練されており、やはり気に入っていた機種であったが、ある日、突然壊れてしまった。症状はあまりよく覚えていないが、CD の読み取り中に雑音が入るようになってしまったと思う。よって残念ながら廃棄してしまった。