DR-2d のバッテリー(電池)の持ちは本当に短いか?

(2010-09-09:最新ファームウェアでの測定値をこちらで公開しています)



TASCAM の PCM レコーダー DR-2d については、発売直後からバッテリー(電池)の持続時間が短いとネットでいわれている。すなわち、メーカーの公称ではアルカリでもニッケルでも録音・再生はともに「約6時間」とあるが、実際は3時間程度、場合によっては1時間ちょっとに過ぎないという報告もある。

はたしてそれは本当だろうか。確認のために私も調べてみた。まず環境について書くと、バッテリーは SANYO の eneloop HR-3UTG(非新品)、SDメモリーカードは Transcend の SDHC Class 6 TS8GSDHC6 (8G)、マイクはむろん内蔵のもので、録音レベルはすべて 90 に統一してある。その他の設定はデフォルトの通りである。

次に測定方法だが、録音を開始して、そのまま放置する。そして "Battery Low" の表示が出て録音が止まると終わり、という簡単なものである。



したがって下記の表の数値は実測ではなく、録音されたファイルの再生時間の合計値である*1

フォーマット デュアルオフ デュアルオン
WAV 16bit 44.1kHz 6時間03分 5時間41分
WAV 24bit 48kHz 5時間27分 3時間56分※
WAV 24bit 96kHz 3時間56分※ 未計測

「※」が付いているものは、バッテリーが切れる前に SD メモリーカードの容量が一杯になってしまったものである。より大容量のカードなら、さらに録音できるはずである。

もちろん、上記の数値は私の環境においてのもの過ぎず、入力レベルや他の設定によって変わるであろう。よって参考程度にしていただきたい。

しかしながら、こうしてみると TASCAM による公称6時間はあながち間違いではないといえる。SONY の PCM-M10 や OLYMPUS の LS-11 と比べると持続時間は確かに少ないが、実用的には問題はないのではないだろうか。市販の CD 以上の音質で、数時間にわたり少しの途切れもなく録音しなければならず、しかも AC アダプターも補助のレコーダーも使えない――こうした状況はあまり思い浮ばない(オペラの録音か、野外で希少動物の鳴き声を採取するぐらいか)。

とはいえ、録音において、人は多少の「余裕」が欲しいものである。例えば3時間の録音を行う場合、メモリーにおいても電源においても、最低でも4、5時間はないと不安である。その点で、DR-2d のバッテリーのスタミナには「ギリギリ感」があるのは否めない。

とりあえず以上である。この機種の購入を検討されている人の参考になれば幸いである。

*1:DR-2dでは、一つのファイルのサイズは最大で 2G である。よって、その上限に逹すると、自動的に二つ目のファイルができる。その間、録音は継続される。